心のSOS

心が軽くなる子育てご相談 精神科医・宮田 雄吾

vol.01 不登校の子どもへの対応は?

相談

 「中学2年の娘は、中学1年の3学期に不登校になりました。なんとか学校に行ってほしいのですが、無理強いはよくないと聞き、見守っています。今後、どんな対応をすればいいのでしょうか。将来のことも不安です」

見守る場合もコツやするべきことがある

 2004年、中学校を30日以上休んだ生徒は全体の2.73%に及びます。つまり中学生の37人に1人が不登校なのです。
 そのなかで1年以内に再登校する人は26.4%ですから、4人に3人はなかなか再登校できず、見守る家族はやきもきすることとなります。ここで不登校の子どもを抱えたご家族に、対応のポイントをいくつかお伝えします。

1. 病気や障害がベースにある場合

 精神疾患や軽度発達障害、知的な問題が不登校のベースにあるものが少なからず認められます。これらの場合、見守るだけでは解決につながらない場合が多いので、一度は専門家に見極めてもらったほうがよいでしょう。

2. 「見守る」姿勢のポイント

 見守る際には「水鳥のように」を心がけましょう。すなわち子どもからは、「悲愴感が漂わず」「なんとかなるさという気軽な感じがあって」「わかっていてもできない正論ばかり突きつけられず」「あきらめられた感じでない」ように見えること。  そして水面下では、「学校の情報は把握しておき」「子どもが取り組めるいろんなプランを調べておき」「タイミングをみてそれらを教えられる準備をしておく」のです。
 これは口でいうほど簡単ではありません。大人側のあせりや不安が子どもに伝わり、事態をこじらせがちなのです。そんな場合は、子どものことばかりに生活が偏らないように大人自身が楽しめる時間をとり、時には子どもに聞こえないところで思いっきり子どもの愚痴をこぼしておきましょう。

3. 「登校刺激」のポイント

 殴ったり、怒鳴りつけたりといった登校刺激は有害です。しかし、再登校につながる工夫をやわらかく提案するのは構いません。もし刺激してみて事態がこじれるようなら、刺激を一時停止すればいいのです。

4. 「原因探し」はやめよう

 不登校の原因探しはやめましょう。責任を誰かに求めて傷つけあっても仕方ありません。過去はチャラにして、いまできる常識的な取り組みをみんなでやりましょう。
 不登校に関する調査によると、不登校だった子どもが成人したころに学校に行ったり働いている割合は77%に達しています。「不登校イコール将来のひきこもりではない」ことは知っておきましょう。

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